京都の借景式庭園で最も有名な庭園は、この円通寺かもしれません。
大きく開放された方丈から、眼前にそびえるのは、霊峰比叡。
比叡山は、現在の延暦寺が建つまえからも霊峰として崇められていたそうで、山そのものに昔の人は神々しさを感じていたのでしょうか。
そして、この山に最澄が延暦寺(延暦寺の寺号になるのは最澄の没後)を建ててからは、さらに霊峰としての信仰を高めたのでしょう。
この円通寺は、元々は後水尾天皇の幡枝(はたえだ)御所があった場所だそうです。
後水尾天皇は、この場所を見つけるために、あちこち探し回って、やっとのことで、この比叡山のベストビューポイントを見つけました。
お寺の説明でも聞く事ができますが、借景となっている比叡山が、近すぎず、遠からずで絶妙な距離感。
方丈に座って、眺めるとこの素晴らしいバランスがよく解ると思います。
垣根があって、上手く家や学校などの建築物を視界から排除し、自然の造形美を堪能する事ができます。
この日のお天気は、快晴。
写真では解りにくいかもしれませんが、比叡山が綺麗に見えます。
また、目線を下に転じると、面白い石組みと刈り込みです。
この辺りの、石組みと刈り込みの組み合わせと言い、比叡山の借景と言い、見ていてまったく飽きる事がありません。
朝、昼、夕方、雨、曇り、雪と時間帯や、季節、天候によって、無限の表情をこの庭園を見せてくれます。
一度といわず、ふと思い立ったら訪れたいお庭ですね。
ですが、悲しい哉、この景色はそう何時までも見る事が出来るものでは、無いようです。
すでに、周辺地域のしかも、この素晴らしい景色の視界のなかに、マンションが建設される計画があるそうです。
お寺の説明アナウンスでも、この辺りは、非常に無念そうです。
以前は、一切写真撮影禁止だった円通寺が、庭園の撮影を解禁したのはこの開発による借景の破壊を考えた事からです。
この素晴らしい庭園を、本格的な開発が始まる前に、ぜひ、皆さんの目で見てもらいたいと思う今日この頃です。。。


